レビュー 「損する結婚 儲かる離婚」
今日は、一年前ですが、読んだ本のレビューです!
●この本が説いている本質
この本が説いている本質は、少子化から脱却する希望の道筋であり、なにより女性一人ひとりに向けて(もちろん男性にも)「本当に豊かな社会とは何か」について大変親身に書かれている本です。
ポイントは2つで、
①社会規範に縛られずにそれぞれのかたちで幸せになれる社会って素敵
②でも社会規範に法律が則ってる日本の現状(結婚して産んだ子でないと不利益を被る構造)を踏まえた上で、社会が、個人がどういう選択をしていくか考えないとですね
はいはい結婚に希望を持てなくなった人の結婚不要論でしょ?と思ったそこのアナタ。ちょっと待って。私も題名でドライな印象受けましたが、ず~っと素敵なことが書いてありましたよ。
ちなみにアマゾンの内容紹介はこんな感じです。
結婚の「損得勘定」 知らなかったら地獄を見ます。
「恋」だの「愛」だのといったキレイゴトに騙されるな!
結婚相手選びは株式投資と同じ。夫婦は食うか食われるかの関係にある。
そんな男女の「損得勘定」と、適切な結婚相手の選び方を具体的なケースを元に解き明かす。
題はいろんな理由でキャッチーになってるんでしょうが、もちろんテクニカルな部分はケーススタディーとして男女ともに大変参考になるのは実際のところ、
社会規範に縛られることなく自分の思う幸せを追求しようよ、というメッセージの本質は、一人でも多くの女性に届いてほしいと思います。
愛は金勘定じゃないという反論があるそうですが、書かれていることはそうじゃないですよ。
筆者の主張を真逆に読み違えてますよ。
国語の四択問題「筆者の主張を選べ」だったら典型的ダミーとして入ってる選択肢ですよそれ。
「結婚」というカタチに囚われるがあまり、
本当に好きな人との結婚だと経済面で不利そうだから適当な人で妥協するとか、
本当に愛する人とはなんらか社会通念上の理由で結婚できないからその人の子が産めないとか、
そういう考え方のほうがよっぽどなんというか「豊か」じゃないんじゃないですか。と、筆者は問いかけているわけです。私も同意です。
ま、「本当に好き」ってなんですかって話なんですけど。なんなんですかね?
とにかく全体的に超同意ですが、一点、「内助の功の理屈はおかしい」という点のみ私は激しく反論がありますがそれはまた別のお話。
●少子化の本当の壁
少子化脱却に向けた根本的解決少子化問題についてはさまざまな論点が巷で日々議論されていて、出産後の働きやすさ、金銭的な補償等々ありますが、
結婚せずに子どもを産むなどとんでもない、という社会規範と、
それに則った法律により、結婚せずに子どもを産むと実際不利になる構造、この二つがそもそもの大きな壁だと思います。
実際少子化脱却に成功しているフランスの婚外子は50%以上、日本は2%ですよ。で、婚外子率と女性の社会進出率が相関関係にあるという大変興味深い(まぁ考えたら自明ですが)考察が第六章に続いております。
●結婚制度で得をしているのは誰か?
第六章。以下Amazonより。
第6章 古くて新しい家族のあり方を考える
一夫一妻制は自然な形なのか/現実の恋愛市場は一夫多妻制/結婚制度で誰が得をしているのか/女性が社会進出すると婚外子が増える/動物の子殺しから考える父系制社会の影/理論的には母系制社会のほうが幸福/子供を産む=結婚という文化的制約/結婚以外の男女交際と家庭の作り方/多様な家族の形が認められる豊かな社会へ
人間の動物としての本能的なあり方から、戦争を繰り返して変化してきた歴史、近代的システムとしての発展、それらの文脈からも結婚制度が考察されています。
人間を動物としてとらえたとき、本来は一夫多妻が自然な形ではあるが、それを一夫一婦に振り分けたとき、得をしているのは誰か?多数派の男性だ、と。なるほどー。
一夫多妻制だと、イケてる男子が女子を総取りしてしまい、イケていない男子があぶれてしまうという自然現象を、制度によって、男子全員に女子が振り分けられるようにしているのが一夫一婦制という結婚システムである、と筆者は言っています。面白い。
多数派の男性の不満を解消することで、社会が安定するわけです。
多数派の不満を解決することが大事ですから。
●合法的な「子殺し」
また、以下「子殺しから考える父系制社会の影」より
父親を中心とした家族が形成されるために、子供が本当に自分の子供であるかどうかが重要になる。その結果として、女性にはさまざまな貞操義務が押し付けられ、また社会の規範として家族の形まで決められる。(中略)そうした父系制社会の規範に沿わない子供は、合法的な子殺しである中絶手術によって、大量に殺されている。
複雑ですね。動物的なのかシステマティックなのか何と言っていいのか分かりません。